手術当日の朝を迎えました。
昨日の下剤の影響で肛門がかなり痛いし苦しい状況ですが、この苦痛も手術が終わってしまえばサヨナラです。
ですが、昨晩のラウンジでの出来事( 肛門狭窄の手術をした患者さんの痛々しい姿 )が脳裏をよぎります。
この期に及んでも手術は嫌なもので複雑な心境です。
早朝6:00過ぎ、看護師さんが病床へやってきました。
体温と血圧を測定してもらい、昨晩からの排便の回数や便の形状を伝えます。
( 固形状の便が出ている患者に対しては、無形の便になるまで、なんらかの対処を取るようです )
測定が終わると、手術着と圧迫ストッキング( エコノミー症候群防止のため )を身に着けます。
自分の場合は目が悪いので、コンタクトレンズを外して眼鏡に変えます。
準備が終わると点滴をしながら、ベッドで安静にします。
11:00過ぎ、看護士さんから声が掛かりました。
いよいよ手術待機室へ移動となります。
痔核根治手術と裂肛・肛門狭窄の手術
手術待機室への移動中、エレベーターの中で看護士さんに鎮静剤を使用したい旨を伝えました。
自分 「 手術の際、鎮静剤をお願いしたいのですが。 」
看護師さん 「 わかりました。それでは担当医に伝えておきますね。 」
自分 「 ありがとうございます。 」
手術待機室へ着くと、ストレッチャー( 寝台車 )で横になり待ちます。
部屋の中は少し肌寒い感じです。
少し尿意があったので、念のため看護士さんに声を掛け、トイレに行かせてもらいました。
しばらくすると麻酔科の女性医師が現れ、鎮静剤を使用する旨や緊張を和らげる言葉を掛けていただきました。
麻酔科の先生 「 手術中もずっと隣におりますので、安心してください。 」
麻酔科の先生 「 少しでも心配なことがありましたら何でも聞いてくださいね。 」
患者を不安がらせないことを徹底しているのでしょう。
温かい心配りを感じながら手術に臨むことができました。
手術
とうとう手術室へ移動です。
手術台へ寝かされますが、眼鏡を外しているので、周りの状況は雰囲気しか分かりません。
( ちなみに自分はかなりのド近眼です )
麻酔科の先生 「 鎮静剤を投入していきます。何か気になることはありますか。 」
自分 「 特にありませんが、心電図のような音が聞こえています。 」
麻酔科の先生 「 それでは、鎮静剤を追加しますね。 」
この時点でかなり頭がボーっとしていました。
麻酔科の先生 「 これから腰椎麻酔をしていきます。 」
注射が打ちやすいよう横向きになり、膝を抱えて腰を丸めます。
( 横向きの体育座りのような格好です )
麻酔科の先生 「 痛みはありませんか。 」
自分 「 大丈夫です。まったく痛くありません! 」
注射を打たれる際、少し押されるような感覚がありましたが、完全な無痛でした。
腰椎麻酔はかなり痛いと聞いていましたが、取り越し苦労でした。
腕の良い麻酔科の先生で本当に良かったと思いました。
その後、鎮静剤の効果で、ウトウトして寝てしまいました。
ふと目が覚めると、まだ手術台の上でしたが、手術は終わっていました。
どうやら30分ほど経過していたようです。
執刀医の先生 「 手術は無事に終わりました。これが切除したポリープです。 」
執刀医の先生が、切除した部位( イボ痔 )をトレーに乗せて見せてくれました。
残念ながら、眼鏡を外していたのでよく分かりませんでしたが、黄色っぽい物体が3つほど乗っているようでした。
その後も先生と会話のやり取りがあったと思いますが、意識が朦朧としていたのであまり覚えていません。
鎮静剤の投与により、リラックスした状態で手術に臨むことができ、痔核根治手術と裂肛・肛門狭窄の手術を、無事に終えることができました。
少し話は逸れますが、自分の執刀医は、ベテランの先生と若手の先生の2名で、主に手術を担当していただいたのは若手の先生でした。
事前にホームページで先生の顔写真は確認していましたが、話をするのは今回が初めてでした。
手術後
手術後、ストレッチャーに乗せられ、病室のベッドへ戻りました。
下半身麻酔の影響で腰から下の感覚はありません。
ですが、上半身は正常な状態なので、全身がむず痒いような変な違和感がありました。
これをずっと我慢するのは辛いと思い、腰の位置をずらしたり体勢を変えたりしましたが、途中で力尽きてまた寝てしまいました。
目が覚めると、2時間ほど経過しているようでした。
幸いなことに、むず痒いような変な違和感は治まっていました。
( まだ下半身には痺れが残っている状態です )
しばらく安静にしていると、肛門が熱を帯びたように、少し痛くなってきました。
看護師さんを呼び、「 痛み止めの錠剤 」をもらいましたが、あまり効果がありませんでした。
そうこうしているうちに、夕食( 18:00 )の時間になりました。
夕食は、ゼリーのみです。
ウィダーinゼリーのような容器に入っている吸うタイプのゼリーでした。
お腹が空いているので早く食べたいのですが、右腕には点滴の針が刺さっているため、うまく栓を開けることができません。
結局、歯で栓をこじ開けて、一気に飲み干しました。
ちなみに、ゼリーの味はくだもの系の味でした。
ひとまずお腹が落ち着いたので、ベッドで横になっていると、肛門がまた痛くなってきました。
( もう下半身の麻酔は切れていて、足の指先まで普通に動かせる状態です )
肛門が熱を帯びているせいか、排便をしたいような感覚となり、とにかく辛いです。
( 実際には、腸内は空っぽなので便は出ないはずです )
再び看護士さんを呼び、今度は「 痛み止めの点滴 」を投与してもらいました。
ようやく痛みが引き、眠ることができました。
目が覚めると、夜中の1:30でした。
ぜんぜん時間が経過していないことに愕然としてしまいました。
手術後は、麻酔による後遺症の影響が出やすいため、翌朝まで体を起こすことができません。
寝返りうつ程度は許可されますが、基本的には上体を起こすことは厳禁で、寝たきり状態を維持しなければなりません。
寝ているだけなので楽と思われがちですが、自分にとっては起き上がれないことが辛く、ものすごいストレスでした。
追い討ちをかけるように、また痛みが酷くなってきました。
看護士さんを呼び、今度は「 痛み止めの筋肉注射 」を打ってもらいました。
しばらくすると頭がボーっとして、天井が歪んで見えるようになりました。
目もグルグル回りはじめ、そのまま眠りにつくことができました。
錠剤、点滴、注射と3段階の痛み止めを処方してもらいましたが、この筋肉注射が最も効きました。
深夜のナースコールにもすぐに駆けつけてくれて、献身的、かつ的確に処置をしていただいた看護士さんには本当に感謝したいです。
この手術当日は、後にも先にも入院生活の中で最も辛い日でしたが、何とか乗り切ることができ、翌朝を迎えることができました。
【 手術後( 翌日 ) 】へ つづく